みなかみ町平和式典・戦没者追悼式にあたり、ご遺族並びにご来賓各位には、ご臨席の栄を賜り心から厚く御礼申し上げます。先ずは改めて、過去の悲惨な戦争を反省すると共に、今日の平和と繁栄は戦没者の犠牲の上にある事を思い、英霊の御霊に感謝し、謹んで哀悼の誠を捧げる次第であります。顧みれば全国で300万人余の同胞が、そして我が町では902柱の先人が、奥利根の故郷を思い、愛しい家族を案じつつ、戦禍に倒れ、戦場に散り、或は遠い異郷の地で亡くなられました。また、一家の支柱を失ったご遺族皆さんは、悲しみに耐え、困苦の中で子女の養育に努め、家業の発展に尽くしてまいりました。往時を偲べば筆舌に尽くし難い思いが、今も走馬燈のように去来している事と思います。
私達は、この激動の世紀をご遺族皆さんと共に幾星霜、常に郷土愛を胸に、故郷の建設に努め、利根川源流の町「みなかみ町」の礎を築いてきました。これも偏に、英霊のお導きであり、心から感謝申し上げます。
国は今年も8月15日に全国戦没者追悼式を、群馬県では県戦没者追悼式が行われました。大沢群馬県知事は式辞の中で「この平和と繁栄は、戦没者の尊い犠牲によって築かれたものであり、私達は二度と悲しい歴史を繰り返してはならない。その為にも戦争の惨禍や平和の尊さを、次世代に正しく語り継ぐ責任がある。」と述べられました。
私は村長・また町長として、連続20回の参列となりましたが、大沢知事の決意と次世代を代表する「平和への誓い」を伺い、国難に殉じられた英霊に思いを馳せ、不戦の誓いを新たにし、国際平和を誠実に希求する日本国である事を念願しております。
我が国はあの廃墟から、他に類を見ない経済発展を遂げました。この事は国民が祖国を愛し、発展を夢見て技術革新に励み、実現に向けた情熱と努力を惜しまなかったからであります。併せて、隣国を始めとする世界の国々が、我が国を友好的に支えてくれたからです。しかし今日、日本はどこの国からも愛され、信頼されているでしょうか。
我が国は過去の戦争、とりわけ、太平洋戦争ではアジア諸国に甚大な被害を与え、未だ数多くの後始末が残っています。
この現実は、日本国を継承した私達の責任であり、今後は我が国の平和と繁栄を念頭に、近隣諸国との友好親善を図りながら、着実にその責務を果たさなければなりません。
戦争の終結から60有余年が経過しても、未だに被害の実態が語り継がれています。この際、我が国は侵略に謝罪し、補償も含めた太平洋戦争の後始末をすべきであります。
私は、私の父や母の世代に生きた人々を尊敬しております。何故ならば、戦中・戦後の我が国を支え、荒廃した日本を世界の大国まで復興させたのは、その世代の人々であり、この事は日本人の誇りであります。私達は、この誇りを再び取り戻す時を迎えています。それは国の名のもとに、私達が太平洋戦争の後始末を決意する事であります。例え道程が険しくとも、関係国の理解と協力を得て、解決する責務があります。そして、戦争の真実を知り、同じ歴史観の中で「日本人の誇り」を抱き、相互信頼の下で堂々と渡り合える時代を構築すべきであります。そうすれば、やがては戦争に対するわだかまりも解け、経済・文化の交流が一層盛んになり、共に手を携えて、真の平和と繁栄を取り戻せると考えるからです。
一方、世界に目を移しますと、宗教や民族問題等から紛争が絶えず、同時多発テロに端を発したイラク戦争は未だ解決しておりません。また我が国は日米安保体制下にありますが、北朝鮮のミサイルや核兵器、更には拉致問題に見るように、今や国民の生命・財産が安全に守れる保障はありません。従って、我々は自国の安全を自らの手で守る気概を持つと共に、隣国である中国・韓国等と良好な関係を維持・発展させる事が肝要であります。時を経て、幸いにも福田総理大臣が誕生しました。心からお祝い申し上げますと共に、アジア重視の外交を唱える総理の手腕に、大きな期待を寄せているところであります。
この夏も猛暑の中で、核兵器廃絶運動が展開され、みなかみ町を出発した「反核平和の火」は若者にリレーで運ばれ、その願いは広島平和記念公園に灯されました。また昨年は、中学生全員で平和の願いを込めて「千羽鶴」が折られ、戦没者追悼式でご照覧の後に、広島平和公園内「原爆の子の像」と、長崎平和公園内「平和祈念像」に奉呈されました。
我が国は唯一の被爆国であり、核兵器の廃絶は国民の悲願であります。それだけに、私達は核兵器の廃絶に毅然たる態度で臨み、全世界に「戦争の愚かさと核兵器の廃絶」を強く訴える責務があります。みなかみ町は昨年、「核兵器廃絶宣言」を行いました。今後共も宣言の趣旨に沿い、核兵器のない平和な国づくりに邁進する決意であります。
英霊諸氏には、これからの町づくりをご照覧頂き、末永いお導きを心からお願い申し上げます。
結びにあたり、英霊の御霊の安らかならん事と、戦没者ご遺族皆様の今後のご平安とご健勝をお祈り申し上げて式辞といたします。














