高齢化対策は重要な課題ですが、少子化は、それを遥かに上回る深刻な問題であります。1970年代前半の出生数は全国で凡そ200万でしたが、最近では110万程度に減少しています。少子化による人口減少は、国力の低下につながり、地方では限界集落など住民自治の崩壊が危惧されます。しかしながら、少子化は今直ちに社会に影響を及ぼすわけではなく、将来の問題であるだけに、その深刻な影響について認識していない人が多いのが現実です。また原因の多くが結婚や出産、育児という個人の生活に関るところが大きいだけに、行政としても直接関与することに限界を感じます。みなかみ町の現状は別紙のように、平成19年度の成人者は298人でしたが、出生者は116人です。因みに、平成18年度の成人者は325人に対して、出生者は131人であり、一段と少子化が進み憂慮する実態です。少子化の原因は結婚年齢の上昇、生涯独身者の増加、夫婦一組当りの出生児数の減少などが挙げられますが、最大の理由は女性の社会進出であります。その反面、職場と家庭の両立が難しく、家事と育児に専念できる環境にない事と、更には子育てと教育に、お金がかかる問題が挙げられます。
確かに、この二つの問題は少子化が進行する要因と思いますが、根本的には家庭における子供の存在意義が変ってきたことです。それは、一つにはサラリーマン化が進んで家庭と職場が分離され、我が子に家事を手伝わせて家業を継がせる時代でなくなりました。そして、二つには充分か否かの議論は別として、社会保障制度が拡充し、高齢者の老後の生活を子供達が面倒見なくても済む社会環境になった事が挙げられます。
それでは、どうすれば少子化減少をくい止められるのでしょうか。今からサラリーマン化に逆行し、社会保障制度を元に戻すことは不可能であります。しかしながら、子供達は将来、社会全体を支える重要な役割を担っていくわけですから、子育てを夫婦や家族に任せるだけでなく、社会全体で負担する仕組みが必要と思います。
そのためには、少子化対策を国政の最重要課題として議論し、国民一人一人が税金等で子育て中の皆さんにその一部を提供して、社会全体で支援する体制を創ることが急務であります。例えば、結婚並びに出生については現在、税制上の控除が38万円ですが、これを大幅に改善し、国からは1人当たり最低50万円を支給する「出産祝い金制度」を創設すべきです。また、現行制度では児童手当は3歳まで月額10,000円、育児手当は現在、小学校6年生以下の子供に対して第1・2子は月額5,000円、第3子以降月額10,000円を支給していますが、これを大幅に拡充すべきです。更には、出産時の不安解消と緊急時の対応として、産科医・小児科医を早急に増やすことが求められます。
私は新たな国・県の施策に期待すると共に、仮称「みなかみ町子育て支援に関する条例」を制定して、財政状況を検討しながら少子化対策に取り組む決意であります。
ここでは、現在、取り組んでいる施策を申し上げます。
先ずは「福祉医療制度」についてであります。
この制度は子育て支援として医療費負担の軽減を図るものであり、本町の単独事業として13歳までの医療費無料化を実施してきました。今年度からは大沢知事の計らいで、入院については中学校卒業まで無料化されました。心から感謝申し上げますと共に、外来につきましても宜しくお願い致します。
第二は「出産祝い金制度」であります。この制度は本町が独自に行う制度であり、出産を祝い、若年層の増加と定住化の促進を図ることを目的に、みなかみ町に6ヶ月以上在住している町民に下記の通り支給しています。
◆祝い金額は 第1子 20,000円
第2子 100,000円
第3子以降 300,000円
第三は「母子保健事業」であります。
町では保健師や栄養士を中心に、両親学級や乳幼児健診・家庭訪問等を実施しており、出産や育児の不安を軽減し、安心して子供を生み育てる事ができるよう支援しています。併せて、保健推進員や子育て支援ボランティアのご協力を得ながら、子供を生み、育てやすい環境作づくりに努めています。
第四は「子育て支援と教育環境の整備」であります。
町村合併を契機に、保育園と幼稚園を教育委員会の所管とし、両園が連携のもとに幼児の教育と保育を行っています。町内には、公立幼稚園4、公立保育園4、私立幼稚園1、公設民営保育園1の10施設があり、希望者は全員が入園できる施設数です。今後は「認定こども園」等により施設の統廃合を進め、これらの公設民営化を指向し、更には保育時間の確保と保育料の低廉化を図りたいと考えています。
最後に「住みたくなる町づくり」であります。
町村合併をして2年8ヶ月になりますが、月夜野地区を中心に「都市計画事業」を推進して、健康で文化的な生活ができる環境整備と、利便性・快適性を備えた活力ある町づくりを目指しています。そのためには、月夜野・水上・新治の3地区が、協調と連帯の精神を以て事業に当たる事が重要です。そして、合併支援事業を活用して懸案の道路整備を行い、土地を集積して工業団地を造成し、積極的に企業誘致に取り組む決意であります。
この事業の実現は、人口の増加と雇用の拡大につながり、町の財政力を高めると共に、最も効果的な少子化対策になるものと期待しています。
以上、本町における少子化対策の実態と、国・県に要望する内容を申し上げましたが、これは一朝一夕に実現できるものではありません。それだけに、少子化対策は国家存立にかかわる国の最重要課題として取り組むべきであります。何故ならば、福祉国家の基盤である社会保障制度は、次世代を担う若い皆さんの力で支えられるのであり、この制度が健全に運用されてこそ高齢者対策も成り立ち、国民が安心して毎日の営みを続ける事ができるからです。
しかし、今の国会は「後期高齢者医療制度」の議論に見るように、政局にらみの自我の張り合いと、政党間の駆け引きに終始していて残念でなりません。
種々意見は合っても、高齢化によって増える医療費は、現役、高齢世代と公費で賄うしかないのです。保険料を高齢者に負担してもらわなければ、それを現役世代が背負う事になります。従って、公費をどこまで入れるかを含めて、医療費負担のあり方を真剣に議論すべきであります。日本の将来と国民の幸せを考えているなら、そろそろ与野党が同じテーブルに着いて、恒久的な福祉国家を創造する議論を重ねて欲しいものです。そして、真に少子高齢化時代に必要な施策を打ち出し、町民誰もがこれを受けて家族愛・郷土愛に燃えて、「かけがえのない故郷」の建設に情熱を傾けたいと念願しています。














